INTERVIEW

「観光」をネクストステージへ
若きリーダーがKANDAを選んだ必然

株式会社Hagino
代表
坪井悠起 様


築30年のカプセルホテルをフルリノベーションした、gran+シリーズ14棟目となる『gran+ KANDA』。壁一面にビリヤードボールを埋め込んだミーティングルームや、神田エリアで古くから営業していた映画館調のファサードがエントランスホールを彩ります。


そんな遊び心にあふれたオフィスを拠点に選んだのは、株式会社Haginoの坪井悠起さんです。
コロナ禍を経て新たなフェーズに移行する観光業を、新たな視点で牽引する現役大学生経営者がgran+を選んだ理由とは?


──御社の事業内容を教えていただけますか?

ホテル業界に特化した人材紹介サービス『in the HOTEL』など、旅行・宿泊業態を生業とするクライアントに向けてビジネスを展開しています。

基本的に宿泊業態は《単価×客数×稼働率》という構造で回っていますが、昨今では集客・PRを目的としたSNS運用費や、その他外注コストが収益を圧迫しているケースが散見されます。そんな現状を鑑みて、私たちは特に「人材」について内製化と外部委託のすみわけが不可欠だと考えています。

ホテルをはじめとした宿泊業界が、いかに人を採用・教育しているかを分析すると、多くの場合、現場の支配人に採用権と責任を預けています。言うまでもなく、ホテルそのものの運営と同時に人事業務を担うのは負担が大きく、本来の職務のパフォーマンスを圧迫していると言わざるをえません。

そこで私たちが、現場、本社に次ぐ“第3の人事”として採用業務に取り組み、現場の方々の負担を減らしながら専門的な視点でサポートしています。さらに私たち外部の人間がやるべきことと、ホテルビジネスに直接携わる方々がやるべきことは明確に異なる──そんな新たなスタンダードを業界に根付かせ、コロナ禍を経て宿泊業界が得た知見を次のフェーズへ推し進めようとしています。


──旅行業界・宿泊ビジネスに魅力を感じたきっかけは?

母がパークハイアット東京に勤めていたこともあって、ホテル・観光業が身近だったのが大きいですね。自宅に遊びにくる母の同僚からはかなり影響を受けました。小学生のころから「僕もいつかはホテルで働く!」と宣言してましたし、高校を卒業するときに書いた論文のテーマは『観光を活用した地方創生』。5万字を超える超大作でした。

執筆にあたって、産業としての観光業を理解するために文献を読み漁ったり、関係者に広くインタビューしたことがきっかけで知り合いが増えましたし、観光によっていかに日本にお金を流入させ、循環していくかという、地域おこしという枠を超えた大局的な視点を持つことができました。


──そして2020年春、コロナ禍に入ります

当時、ホテルの格付けチェックをするサクラクオリティマネジメントという会社でアルバイトをしていましたが、観光業全般が世界的に落ち込むのを目の当たりにして、僕自身は案外冷静な気持ちでいました。いったん別の角度からビジネスを勉強するいい機会だととらえ、不動産SaaSのスタートアップやD2C企業、ベンチャーキャピタルなど、いろいろな会社で働かせてもらいました。

いずれ観光業に戻って来ると確信していましたしね。パンデミックもいずれ終息して、新たなフェーズに入るだけと考えて焦ることもなかったです。当時関わったすべての方々に「観光業を盛り上げる存在として起業します」と言い切っていました。


──観光産業、その中でも宿泊業が抱える課題はどういったところにありますか?

人材不足です。私たちがこの問題を、できるだけ迅速に解決しなければならないという強い思いがあります。『in the HOTEL』を運営しているのは、いい人材を迎え入れるだけにとどまらず、長期にわたって働きつづけ、定着するまでをコミットしたビジネスモデルを構築していきたいから。長期的な視野で宿泊業界を活性化し、業界全体を盛り上げていくことが重要です。

先ほどもお話ししましたが、私たちが担うべき役割は、現場の努力だけでは100%の価値を引き出せない部分を補うことです。現場のスタッフには適切なリスキリングやスキル向上のサポートを提供し、継続的に成長できる環境を整えることが重要です。そのための新たなインフラ構築に力を尽くしていきたいですね。


──gran+ KANDAへ入居することになったきっかけを教えてください

スタッフも増え、オフィスが手狭になったことから仲介会社さんに紹介してもらいました。

決め手となったのはまず立地です。東京玄関口、東京駅にほど近く、省庁が集まる霞が関にも歩いていける距離感。品川にもすぐ出れますし、羽田空港へのアクセスも優れています。旅行・観光・宿泊という要素を考えたとき、おさえておくべき場所への利便性が抜群でした。

あと、gran+に入る企業さんはみんな言うと思いますが、机や椅子、照明器具などが備え付けられているのは非常に助かりました。自前で用意したのはホワイトボードと小型の冷蔵庫ぐらい。うちが入っているフロアはトイレが2つあるので、男女別やお客様との使用を分けられるのもよかったです。

また、当社ならではのテクニカルな理由もあります。人材紹介サービスを運営していることから、求職者の方と面談するスペースを確保することが事業上の必須条件となります。執務スペースの他に別途空間を用意する必要があったので、B1Fに打ち合わせ部屋があるのも魅力的でしたね。壁一面にビリヤードボールが埋め込まれているユニークさもインパクト大ですし。


──いかにオフィスを活用していきたいか、イメージはありますか?

観光業に関連したイベントやセミナー、勉強会を積極的に開催したいですね。ウェビナーもリモートでのワークショップもいいですが、フィジカルなコミュニケーションの場は意識してつくった方が絶対にいいです。

スタートアップ企業は熱狂を生み出さなきゃいけない存在だと思うんです。熱くほとばしるイキオイを生み出し、既存の当たり前を動かすチカラを創出するには、チームが一堂に会し、直接コミュニケーションを取ることが重要だと実感しています。

リモートワークに慣れてしまった会社が、変化に対応する中で「オフィスって本当に必要なの?」と逡巡するのも理解できます。特に私のような20代の経営者にありがちです。ただ、あくまで私たちの場合は、効率的で迅速な意思決定のためにも全員がオフィスに出社し、一丸となって取り組むことが不可欠だと考えています。だからオフィス選びには妥協しませんでした。

ちなみに社名の「Hagino」は、祖母が営んでいた蕎麦屋から受け継いだ名前です。小さいころによくお店を手伝っていたので、地域に根づいたお店として暮らしに溶けこむ姿を目の当たりにしていました。私たちもそんな存在でありたいと思いますし、神田という街なら可能な気がしています。

神田は都心部にありますが人情味にあふれ、町内会も元気でたくさんの老舗店が元気に商いをしています。昔ながらのお祭りもありますしね。僕も神輿を担がせてもらってるんですよ。

古きと新しきのバランスが絶妙なこの街で、レガシー産業ともされる観光業を私たちにしかできない新しいあり方に導いていきます。

※本記事に記載されている内容は公開日2025年1月23日時点の情報です。
株式会社Hagino 代表 坪井悠起

株式会社Hagino

https://hagino-tourism.jp/

 

設立:2023
従業員数:約15人(業務委託含む)
代表:坪井悠起
住所:東京都千代田区鍛冶町1-4-5 gran+ KANDA
事業内容:観光業界に特化した人材サービスの開発・提供